水田の飼料政策について

デーリーマンの2014年2月号に、農研機構中央総合研究センター上席研究員の千田雅之さんが書かれた、「時評」というコーナーがありました。酪農家さんから借りてきて読んだのですが、驚愕の事実(おおげさ?)が書かれていました。

千田さんの言われていることを、表にまとめると以下の通りになります。


経営所得安定対策(10a)

収穫調整コスト(10a) TDN(10a) CP(10a)
飼料用イネ 8万円 3万円 432kg 41kg
 牧草 3万5千円 6000円 720kg 120kg

政府は、水田の有効利用、粗飼料自給率の向上を目的に、飼料用イネに現在多額の助成金を拠出しています。農業新聞や現代農業などを見ても、飼料用イネが地域の畜産に貢献しているという記事がよく出てきます。

しかし、千田さんによると、飼料用イネは、助成金のわりには、単位当たりの栄養価が牧草と比較するとかなり低いうえに、収穫コストが5倍かかる。この事実をどう考えるかです。

千田さんは、多額の助成金の下で生産された飼料用米を給与して生産した畜産物は、世界一高コストの畜産物になり、継続的な財政支援なしには成り立たない畜産を築くことになるのではないかと危惧しています。

既存の稲作農家が新しい設備投資なしで、どうにか助成金の名目も立つようにするためには、飼料用米の存在は特別ですね。お金はかかるけど、政策を実行するうえで後押しする理由がいくらでも思い浮かびます。

2011年度からの多額の助成金により、飼料用作物の作付は約6万haまで伸びました。

政府は、攻めの農業ということで、生産現場の体質強化に力を入れ始め、生産コストの低減にむけた構造改革を推進しています。一方で、多額の助成金を拠出して、高コストの粗飼料の生産を後押ししています。

自分が稲作農家なら、どうしますかね?素朴に考えて、お父さんだったら息子に尊敬されたいと思いますので、飼料米は作らないかな?やっぱり、おいしい米を作りたいと思い、日々努力している親父でいたいです。

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コメント: 1
  • #1

    ゴルゴ15 (月曜日, 04 5月 2015 07:56)

    飼料米で本当に成り立つのであれば、日本にとってぴったりだと思います。栄養価的な問題、そして何よりもコストの問題でしょうか。ただ、チャレンジされている生産者さんがおられますので、今後の成果に期待しています。
    ある方がおっしゃられていましたが、コメの問題は、輸出、環境保全、そして農業にかかわるクロスファンクショナルな分野とのことで、農水だけでなく、経産省、環境省などとも協力して目的別に対応する、という取り組みも必要だとのことでしたが、なるほど、と考えています。