乾乳牛の移動

酪農家が、牛をどこで分娩させるかを決めるのは、作業上どこで分娩させるのが、一番いいのかを熟慮して決定していると思いますが、なにはともあれ絶対してはいけないのが、分娩前に他の場所に移動して分娩させることです。たとえ、それが分娩房のような快適だと思われる場所でもです。デーリーマン2015年3月号に、子宮内膜炎の発生要因の一つに分娩予定日2週間以内の移動というのも、一つの原因だと道総研根釧農試の小山さんが書かれています。つなぎ牛舎の場合、つなぎ牛舎でつないだままで産ませるか、乾乳牛舎で産ませるか、乾乳牛舎から分娩前に移動させてつなぎ牛舎や分娩房で産ませるか、この3種類です。最も理想は、乾乳牛舎(ばら飼い)で産ませるのが一番いいようです。その際、生まれた子牛が他の母牛に踏まれたりしないかなどと、考える方もおられるようですが、そのような心配は一切いりません。母牛は他牛の仔を踏むようなことはしません。また北海道の場合、乾乳牛舎で分娩させると、夏場はいいのですが、冬は仔が凍死したりするリスクがかなりあります。しかし、子牛の凍死を恐れて、母牛を病気にさせるのは、一番していはいけないことだと思います。私の経験では、分娩前1カ月以内の移動で、10頭中4頭ぐらいは四変になる可能性があると思っています。とにかく1月2月の2カ月に関しては、分娩する親牛の観察を徹底するしかありません。カメラをつけたり、頻繁に見に行くとか、要は意識さえあればいいと思うのです。まぁ、私たち獣医は簡単に言いますけどね。わかっちゃいるけど、色々な理由で改善できないのも現実です。