フランスのチーズ

チーズの日本における消費量は、年々増えているそうで、これからも増える予測です。日本でも酪農家が農家製チーズを作り、販売し頑張っている姿が、雑誌等で取り上げられる機会が増えました。現在、デーリーマンでチーズ研究家の伊藤好孝さんが、「チーズの国で見て聞いて」という連載をなさっています。この方、実際にフランスやスイスの農家、チーズの製造現場に足を運んで、チーズ素人の日本人という立場で率直で素直な文章を書く方で、私は大変楽しんで読ませていただいています。

一番感心したのは、「牛乳が余っているからチーズをつくろうという発想では、うまいチーズはつくるのは難しい。うまいチーズを作るためにはうまいチーズを作るための牛乳の存在がある」ということです。フランスには300種類のチーズがあると言われているそうですが、同じブランドでも季節や熟成によって味が違ってくるらしいです。また、チーズを作る際に加熱殺菌をしないというのも驚きです。工業的に作っているチーズは別です。逆に加熱殺菌することで風味や個性が失われることのほうが、問題らしいです。もっとすごいのは、パイプラインを通すと牛乳の粒子が破壊されるので、半地下のチーズ工房に流下させる仕組みを作っている人もいるらしいのです。また、フランスではチーズ熟成士というチーズ熟成の専門家がいるらしいです。チーズの製造では初期の成型よりも、熟成管理のほうがより難しいからです。

このような現実を知って、我々の北海道とフランスを比較すると、どうでしょう?北海道のホルスタインでエサと言えば、チモシーやオーチャド、デントコーン、季節の草花を食べさせるというような考えが存在するでしょうか?まして、チーズを作るための牛乳を生産しようという哲学があるでしょうか?また、無殺菌でチーズを作るなんて言ったら保健所の許可など絶対おりません。パイプラインを通すと粒子が破壊されるなんて、考えてみたこともありません。熟成士の腕によってチーズの出来不出来が左右されるというのも初耳です。

色々考えると、フランスをはじめとするヨーロッパの国には、チーズに関してはちょっとかなわないなぁというのが印象です。しかし、日本人が、チーズは大変奥深いものだと認識すれば、生産者も消費者もお互い刺激をし合って、本場に負けない個性のあるチーズが次から次へと出てくるのではないでしょうか?

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コメント: 1
  • #1

    ゴルゴ15 (水曜日, 01 7月 2015 17:51)

    日本とフランスのチーズへ対する考えが全く真逆なのですね。最終ゴールをどこに持ってくるかで考えが変わってしまいますね。しかし、さすがはアイデンティティーの国という感じです。