クロスブリーディング?

 DAILYMAN2018年9月号に、根室生産連の佐藤拓也さんが、根室管内で発足した「根室管内クロスブリーディング導入推進プロジェクトチーム」のことについて、ご説明されていました。簡単に言うと、ホルスタインに違う品種を授精させ、雑種を作るということのようです。クロスブリーディングの先進地は、北欧(デンマーク、オランダ、スウェーデン、フィンランド等)諸国です。アメリカでも、近年はこの考え方が進み、今では全乳牛のうち約10%は、クロスブリーディングの牛のようです。

 さまざま品種が存在している、ヨーロッパにおいて、北欧諸国では、「モンベリアード種」と、「バイキングレッド種」という2種類の品種を使い、クロスブリーディングを行っているようです。

 さて、このクロスブリーディングの生まれた背景ですが、簡単に言えばホルスタイン種では、満足出来ない状況が生まれたということです。体が大きくて乳は出るけど、繁殖性、抗病性、長命性を考えると決して満足いくものではない。クロスブリーディングの効果として、ホルスタイン種との比較では、繁殖力や健康形質が10~15%も向上し、分娩難易度は1/5程度に低下、年間乳量は6~7%ほど低下するも生涯乳量は上回る結果が出ているそうです。

 実現に向けては、まだまだ困難ことがあるようですが、いずれ日本でもこの技術がスタンダードになる可能性はありますね!是非、頑張って下さい。

5分でわかる乳汁を使った、妊娠判定

 DAIRYMAN2018年9月号に、北海道大学工学部教授の渡慶次学先生が、開発中の妊娠判定紙チップのことについての、インタビュー記事が掲載されていました。この、紙チップを用いて、乳汁を使い妊娠判定を行うと、プロジェステロンの濃度を感知し、約5分で妊娠判定が可能になるそうです。さらに、この紙チップ、妊娠後18日~20日前後で判定が可能だそうです。

 最近、日本でもPAG(妊娠関連タンパク質)検査によって、妊娠30日以上の牛で、妊娠判定が行われています。PAGに関しては、北海道の各地で、ローリーの運転手さんが乳汁を回収し、乳検組合が判定を行うようになってきました。妊娠判定が、従来よりも早く、しかも、獣医を呼ばなくても好きな時に行えるため、多くの酪農家がそのありがたみを実感しています。

 人間でも、尿によって妊娠鑑定が可能なのですから、いつか牛でもこのようなものが開発されて欲しいと思っていましたが、とうとう実用化されそうです。

日本の草地

 DAIRYMANの2018年9月号に、酪農学園名誉教授の安宅一夫先生が、日本の草地について、以下のようなことを書かれていました。

「草地酪農の先進地である、ニュージーランドでは、単位面積当たりの乾物収量が、北海道の2~3倍もある。また、1haの草地から約20tの牛乳生産が可能である。一方、北海道では、6t以下とされている。ニュージーランドの基幹牧草は、ペレニアンライグラスとシロクローバー、デンマークではペレニアンライグラス、アメリカではアルファルとトウモロコシである。一方、北海道の基幹牧草は、チモシーで、しかも草地の半分は雑草である。その品質と栄養価は、デンマークの基準では、超低消化牧草に分類される」そうです。

 私が疑問なのは、酪農学園の先生始め、多くの酪農研究者が、この世界の実情を把握していながら、一向に

北海道酪農が変わらないのは、なぜなのか?という素朴な疑問です。

 ペレニアンライグラスが、そんなに良ければ広まればいいのですが、それが広まらない。気候の問題なのでしょうか?それとも、やる気がないのでしょうか?

 次の日本における酪農の課題は、粗飼料の大転換です。もし日本に最も適した粗飼料が見つけ出され、それがしっかりと広がっていけば、こんな有意義なことはありません。研究者の方、どうか北海道酪農を根底から覆すような、粗飼料研究をお願いします。

マイコプラズマ感染症について

 マイコプラズマは、肺炎、乳房炎、関節炎、中耳炎など牛の感染症を考えるうえで、大変重要な病原菌です。このマイコプラズマに関して、臨床獣医20172月号で、酪農学園の樋口先生が興味深いことを書かれていました。

 マイコプラズマは、Vspという菌体表面にある生体への接着を担うタンパク質の発現パターンを変化させる能力があるらしいのです。マイコプラズマは、自身の抗原性を巧みに変化させながら免疫を回避しているようです。

 また、マイコプラズマの増殖は、生体側(宿主側)に依存するために、環境での存在はあまり詳細がわかっていなかったようですが、感染農場では、敷料、飼槽、水槽および空気中などからもマイコプラズマはが検出されることがわかってきたようです。また、環境中に存在しているマイコプラズマは、条件がそろえばその環境中でも爆発的に増えることも可能らしいのです。

 肉牛素牛農家でマイコプラズマ性中耳炎が次から次へと感染する時期があるのですが、あれは、環境の方からも対策を実行しないとなかなか収束しないのかもしれませんね。

 

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メロキシカムの経口混濁液

臨床獣医、2017年3月号の、海外テクニカルニュースの欄に、メロキシカム(メタカム)の経口剤を去勢時に投与すると、去勢時の炎症を著しく軽減させるという報告がありました。カナダで発売されているそうです。フルニキシンについては、ヨーロッパにおいて背中にかけるプアオンタイプが発売されているようです。

牛に極力優しい飼養管理という観点から、今後、このような薬剤を使用する機会が、日本でも増えると思います。

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無乾乳分娩で周産期疾病が減少

 DAIRYMAN2016年8月号に、静岡県東部NOSAIの伊藤拓也先生が、乾乳をしないことで周産期疾病の発生率を低下させることができるとの記事が、ありました。

 それによると、乾乳牛と無乾乳牛では、分娩後の疾病発生率で、乾乳牛が20.0%、無乾乳牛が13.0%。同様に1頭あたりの診療回数が、乾乳牛が4.0±2.3、無乾乳牛が2.0±0.7。発症牛1頭当たりの診療費(円)が、乾乳牛が27,043±1109、無乾乳牛が9,660円±333だったそうです。

 年間総乳量は、ほとんど差が認められなかったそうです。

 伊藤先生によると、どんな牛も無乾乳に向いているわけではなくて、過肥牛、高温期分娩予定牛など、分娩後の使用管理が難しい牛が対象のようです。

 逆に、無乾乳に向いていないのは、痩せすぎの牛、乳質が悪い牛、時期分娩が2産目の牛、双子分娩予定の牛だそうです。

 過肥牛の分娩後の管理は、どんな酪農家も苦労しています。今後は、牛をみて乾乳の有無を決断する飼養管理が、普及する可能性があると思いました。

 

 

6年ごとの輪作と草地更新でマメ科率を維持する

DAIRYMAN、2016、7月号に湧別町の酪農家、志鎌輝嘉さんの草地管理について記事がありました。哲学といい実践といい、素晴らしいと思いました。以下に、抜粋。

1.牧草地は3~4haづつ6ブロックに分けて6年ごとに牧草とトウモロコシを輪作し、次作に移行する時には草地を更新する。

2.新草地での雑草対策は、一番草収穫作業が終わる7月上旬に、掃除刈りを徹底する。そうすることで、8月下旬から9月上旬に品質、量といもに満足できる草がとれる。

3.草種は、オーチャドグラス(20kg/ha)、アルファルファ(3kg/ha)、シロクローバー(1kg/ha)の組み合わせ。

4.採草地への施肥は、年4回。マメ科率を維持するには、リン酸肥料が欠かせない。窒素肥料が多いとイネ科に負ける。

5.生堆肥の散布はしない。堆肥舎は月1回移動と切り返しを行う。

などなど・・・。

詳しいことはわかりませんし、初めて知ることも、たくさんありました。

志鎌輝嘉さんは、牧草地が23haと少ないために、限られた草地から十分な栄養収量を確保するために、混播草地を選択しその維持のために、努力をしているようです。

草に関して、情熱と努力を持って対峙している酪農家は、やはりすごいなぁと単純に感動します。土と草へのこだわり。

農業者のもっとも尊敬されるとろではないでしょうか?

 

 

世界で初の乾乳促進剤

臨床獣医の6月号に、世界初の乾乳促進剤がヨーロッパで発売されるという記事がありました。この成分は、ドパミン作動薬のカルベルゴリンという成分で、最終搾乳後に筋注するようです。カルベルゴリンは脳下垂体に働きかけてプロラクチンの産生を止め、乳分泌を止め、乳分泌を減らして乳房圧を下げ、乳漏れを防ぐそうです。

同社の技術責任者Dr.L.Munozは「乳牛の産乳量はここ20年で飛躍的に増えたが、乾乳技術は昔のままである。そのために本剤は、乾乳をスムーズに完了させて乳房の健康を守るためのものである」と語っています。

2030年食糧危機説

2030年における、世界の穀物不足量は、5億トンほどになるという予測があります。問題はこの5億トンという数字です。農林省が2016年1月13日に公表した2015/16年度の世界の穀物需給予測では、需給ともに24億6000万t強で「均衡」しているらしいです。しかしこの数字の4割は家畜のエサに回されているらしいのです。家畜だけで、9億8400万tも使用していることになります。

2030年に穀物の生産量がどれほど伸びているのかが、わからないので、5億t不足と言われても不足割合が、どれほどのものになるかはわかりません。

予測するに、20%から15%ぐらいは不足することでしょう。

2030年になって、人も家畜も穀物の奪い合いに仮になったとしたら、飼料価格というものは、一体どれだけ上昇するのでしょうか?今後も、低価格の濃厚飼料を輸入し続けることができるのでしょうか?

そんなこと考えると、クラスター事業だとか、ロボット搾乳だとか、真剣に考えることが馬鹿らしくなってきます。安価な濃厚飼料に委ねられている、日本の畜産の危うさをついつい心配してしまいます。

どんな畜産も、エサがなかったら事業が継続できないんですから!

厳しいNZ酪農

デーリーマン9月号に、ニュージーランドの厳しい酪農事情が記事に載っていました。簡単に言えば、生産者が得る乳代よりも生産費(経費)が上回ってしまい今年(2015年)の6月から来年の5月までは、利益が出ない状態が続くということです。

その前に、ニュージーランド酪農の特徴を簡単に説明しますと、ニュージーランドの酪農家1万2150戸のうち1万0500戸は、フォンテラ社という乳業メーカーと取引をしています。フォンテラ社が生産者から買い取る乳価は、乳製品の国際指標であるグローバルデーリートレードと為替などから計算されて決定されます。乳価は毎年5月に発表されて、6月から来年の5月まではその発表された乳価で取引されます。ニュージーランドの生乳生産量が2060万t、日本が750万t。ニュージーランドの人口が430万人、日本1億2000万人。ですから、ニュージーランドの乳製品の95%近くは輸出されています。

今年の乳価は、乳固形分1kgあたり3.85NZドルで、これは生産費5.70NZドルを32%も下回るものです。

ニュージーランド酪農のように、ほとんどを輸出に依存している国にとって、国が売り先を見つけることは死活問題に関わる重要なことです。

国際競争力と簡単に言っても、市場に左右されるものを大量に生産しても、極めて危険なことがよくわかります。

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酪農という産業

ここ10年ほどで北海道をはじめ全国で、次から次へとメガファームが誕生し、また新しい計画が次から次へと雑誌や新聞に掲載されています。その度に、エネルギーがあるなぁと思って見てます。しかし、つくづく思うのは酪農はなんでこんなに国家の補助金が当たるんでしょうか?「強い農業づくり事業」「クラスター事業」。半額の補助ですから、10億の事業なら5億まで補助が出ます。他産業から見てもかなり恵まれているような気がしますが、実は、半額の補助を出しても酪農事業に参入してくれた方が、計算上国家にメリットがあるという計算が成り立っているのでしょうか?

考えてみたら、酪農産業って裾野が広くて、そこに関わる人間が、なんと多いことか!

半額の補助なんて簡単に税金として回収しているのかもわかりませんね。


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サイレージの発酵

Dairy Japanの2014年7月号で、丹波屋の村上求さんが、ルーメンアシドーシスのリスクという特集で、サイレージの発酵について興味のあることを書かれていました。デントコーンのデンプン発酵性は、サイレージ調整後の貯蔵期間によって変化し、発酵性を最大とするには6カ月以上必要で、牛のデンプン消化率は、貯蔵当初52%だったものが、12か月後には70%まで向上したという報告があるらしいのです。

私ども士別動物病院の、ここ最近の特徴として、5月から7月にかけて第四胃変位をはじめ、アシドーシス、ケトーシスが、かなり頻発する傾向があります。今までは、冬が終わり温度の上昇によりサイレージの品質が低下していることが、疾病多発の原因と想像していましたが、村上さんの説明で考えると品質が低下していたのではなく、発酵が進みむしろ消化率が上昇し、デンプン過多状態に陥っていたのではないかと推測できます。配合のトップドレスを増やしたような、状況というのでしょうか!

品質が低下したでのではなく、むしろ良化したと!

来年からは、配合を減らすか、乾草を与えるかして、飼料を調整するように自信を持って説明しようと思います。

この理論が、一番ストンと私の疑問を解決してくれました。

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デイリーサポート士別について

先日、デイリーサポート士別の社長である、玉置豊さんと少しお話をする機会がありました。デイリーサポート士別は、サイレージを精製し、TMRを製造する飼料供給会社です。また、構成員の初生メス牛を預かり哺育育成するカーフセンターと、後継者育成のための研修牧場も併せ持つ、ほぼ完ぺきなサポート体制を整えています。

玉置社長がもっとも危惧しているのは、構成員の意識です。デイリーサポート士別は飼料の供給会社ではありますが、ホクレン等の飼料会社などではありません。あくまでも、自分達の会社であり、構成員である酪農家がいかに、この事業に積極的に関わって、より進歩的に発展させていくことが大事なんだと、おっしゃっておりました。

その通りだと思いました。


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ルーメン発酵

デーリーマン2015年7月号から。北大の上田宏一郎先生がルーメン発酵について書かれていました。

上田先生のなるほどと思ったのは、「牛とルーメン微生物は共生関係にある」というけれど、一方的に微生物から恩恵を受けているのではなく、牛自体も、微生物のためにより良い環境を提供している。そのための、システムが牛には出来あがっているんだと。それには3つある。「ルーメン壁の運動」「発酵産物のルーメン壁からの吸収」「反芻」。すなわち、これらの牛が微生物に提供するサービスが低下したときに、ルーメン発酵は異常をきたし、疾病につながっていく。そのサービス低下をもたらす最たる原因が、ルーメンアシドーシスである。とまぁ、かいつまんで言えばこんな感じです。

四変も、蹄病も、乳房炎も、繁殖障害も、すべてアシドーシスに源を発しています。

健康な牛群を作るためには、アシドーシス常態をいかにマイルドにするかが、課題です。



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NZの牧草

ニュージーランドの牧草は、栄養価が高いというブログを前回書きました。古いデーリーマンを見ていて前回の時点で不明であったことが、少しわかってきました。まず、ニュージーランドの基幹牧草は、ペレニアンライグラスとシロクローバーであること。ニュージーランドでは、放牧時期に20cm~30cmの超短草を牛に年10回以上も刈り取らせること。集約農業の代表である、デンマークにおいても基幹牧草はペレニアンライグラスであること。デンマークにおいては、40cm~60cmの短草を年に5回刈り取り、サイレージに調整していること。デンマークの先進酪農化は自給飼料主体で、年間1万1500kg以上の乳量を達成していること。

また、栄養価を上げるために、チモシー草地を短草で多回刈りするとチモシーは消失してしまうということも書いていました。

ペレニアンライグラスは、酪農先進国では主要な草であり、糖分含量が高く、牛が喜ぶおいしい草である。ニュージーランドでは、さらに糖分含量の高い品種の開発に挑戦している。

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